新年度を迎え、新たな境地で春を迎えた人も多い時期。中には上位校とされる大学から希望の就職先へと人生のコマを進め、希望にあふれている人もいることでしょう。 トップクラスの私立大学理系学部から大手外資系企業に就職した相沢健さん(仮名/40代)も、そんな人生を歩んできたひとり。しかし、昇進をきっかけに、思いもよらぬ人生を送ることになってしまいました。(取材・文/千葉こころ) 自分の稼ぎだけで専業主婦の妻と子どもを養うという夢を実現 思わぬところでつまづきました。 共働きの両親のもとで育った相沢さんは、自分の稼ぎだけで家族を養えるようになりたいとの思いから、大手企業への就職を目指して努力を重ねてきました。 「小学生のころから鍵っ子で、寂しい思いをしてきました。古臭い考えだとわかってはいますが、子どもに同じ思いをさせたくないという思いが強く、自分一人の給料で家族が安心して暮らせるくらい稼げる男になりたかったんです」 就職から8年目に結婚。当初は共働きでしたが、1年後、妊娠をきっかけに奥さんが退職します。出産前は産後復帰を視野に入れていたという奥さんも、いざ子どもが生まれると自身の手で育てたい思いが強まり、また、ママ友から聞く保活の厳しさも相まって、子育てが落ち着くまでは専業主婦でいたいと思うように。そうして、相沢さんが幼いころから夢見てきた家庭を実現しました。 2年後には2人目も誕生。子どもたちの将来を考えて、小学校受験に向けた教育も始めます。自分の腕に家族の今と将来がかかっている――そんな思いから相沢さんはますます仕事に打ち込み、昇進を果たしました。 昇進したと思ったら元上司が部下になって面倒な事態に 36歳のころには年収が1100万円にもなった相沢さん。喜びに浸ったのも束の間、異動先の部署で思わぬトラブルに巻き込まれてしまいます。 「うちは実力主義なので、年齢や勤続年数と役職の逆転現象が起こることもよくあります。ただ、越された側には快く思わない人もいますよね。僕もそんなやっかみのターゲットになってしまったんです」 配属先には、入社当初お世話になった元上司が部下として在籍していました。多少のやりづらさは感じたものの、信頼していた元上司と再び一緒に仕事ができることをうれしく感じたと相沢さんは言います。でも、相手はそうではありませんでした。
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