今年1月、千葉市長のツイッターで取り上げられた「男性保育士に娘の着替えやおむつ替えをさせないで」という母親の声。男性保育士の活躍を推進する一環での問題定義であったが、賛否両論の議論を巻き起こすこととなった。 偏った性的嗜好を持つ男性によって幼い子どもが犠牲になる事件が後を絶たないため、「保護者が不安を感じるのも当然」とする意見もある一方、男女差別を指摘する声も多い。では、実際に現場で働く男性保育士はどう感じているのだろうか? 10年のキャリアを持つ小川悟さん(仮名/30代)に話を聞いた。(取材・文:千葉こころ) 女性保育士の手が空くまで汚れたまま放置!? 男性保育士への規制に対する懸念 「男性保育士だから」という差別 現在の職場は30人近い職員が働いているが、男性保育士は小川さんただ一人。とはいえ、保育業務は女性保育士と同様にこなしているため、園児の着替えやおむつ替え、トイレの介助などもおこなっているという。 「園児の着替えやおむつ替えは、一日の保育の3分の1を占めると言っても過言ではないほど、何十回もおこなう作業です。状況によっては、手が足りないと思うくらい忙しさを感じることもあります。そんな中、『男性だから』と禁止されてしまうと、ほかの職員の負担が増えてしまうだけに思います」 保育士の配置人数は、日常のすべてに手助けが必要な0歳児でさえ、国の基準で「概ね3人に保育士1人」とされている。つまり、ひとりの保育士が同時に3人の乳児を世話するということ。さらに、園児の年齢が上がるにつれ、保育士の割合は減っていく。 成長とともに子ども自身でできることは増えていくが、サポートの必要な年代であることに変わりはない。そのため、着替えやおむつ替え、トイレトレーニングなど保育士の手が必要不可欠な事柄は非常に慌ただしくなる。そこでもし「男性だから女児の着替えやおむつ替えは禁止」となれば、保育が滞ることにもなりかねないと小川さんは危惧する。
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